スタッフ 2021.07.20.

目標設定と付加価値の考え方で、グローバル化の時代を生き抜く〜年功序列から成果主義へ〜 

個人の「付加価値」向上がこれからの時代を生き抜く鍵になる

グローバル化の進展により、日本企業は国際競争力の強化が求められています。
そのため、人事制度の考え方を、年功序列や終身雇用を採用した「年功主義」から成果によって評価する「成果主義」に移行する日本企業が増えてきました。
成果主義の影響を受ける今の時代で活躍していくために、個人の「付加価値」の向上が重要です。

年功主義の成り立ち

高度経済成長期では、年功序列・終身雇用制度が最適でした。
戦後、日本は高度経済成長期を迎え、会社が急激に成長し、多くの企業は従業員の確保を最優先に掲げました。
企業は従業員の確保に向けて、従業員が長く働きやすい環境をつくるために、従業員の雇用の安定と賃金の上昇を保証した年功序列・終身雇用制度を人事制度として採用しました。

終身雇用制度・年功序列は、若年人口が多く、高齢者が少ない人口のピラミッド構造で成り立っています。このピラミッド構造が成り立っている場合は、1つの企業で働き続けるメリットがあるため、賃金を抑えながらたくさんの労働力を確保することできます。
そして、将来にわたって雇用を保証することで従業員の会社に対する高い忠誠心を得ることができ、とても合理的な制度として採用され続けてきました。

このように戦後の日本経済の発展を支えた制度でしたが、21世紀に入り少子高齢化の進行やデフレによる低成長時代の常態化によりその制度の前提が崩れてきています。
そして、グローバル化の進展により国際競争力を上げる必要に迫られた日本企業は成果主義へと舵を切りだしました。

年功主義から成果主義へ


・ホンダ自動車が2002年から年功序列制度を廃止
・日立製作所が2014年から年功序列制度を廃止
・日産自動車は2004年から年功序列制度を廃止
・パナソニックが2015年から年功序列の給与体系を廃止
・ソニー、2015年から人事制度を変更(給与における年功序列要素を外すことを決定)

こうした日本を代表する企業も年功序列を廃止してきました。

また、ユニクロやソフトバンクは実力を反映した成果主義を採用しています。
例えば、ユニクロが2020年度の春から採用した人事制度は、実力があれば3~5年で経営幹部に昇進が可能な制度です。

評価制度が明確で出世をするための水準が明示され、社員への正確なフィードバックもされています。
そのため、社員の働くモチベーションの上昇に繋がります。

それでは、成果主義となる世の中では、どのような力が求められるのでしょうか。
これは、チームの目標達成のために、個人個人がどのように活躍できるかが重要となります。
そのためには、多様性、柔軟性、視野の広さ、謙虚に学ぶ力、コミュニケーション力、グローバル力など、チームに貢献できる力が必要です。
チームのために何ができるかを考え、個人の目標設定やキャリアのロードマップを作成し、「付加価値」を上げることが求められます。

経済協力開発機構(OECD)東京センター所長を務める村上由美子氏は、自身の体験から自分の希少価値を上げていくことを以下のように述べています。

以下は、2017年3月6日付 日本経済新聞朝刊記事の抜粋です。
「私自身絶えず、自分の市場価値を意識してきた。会社の看板でしか付加価値を創出できないなら、プロとしての実力は低いとみなされる。会社側も市場価値の高い社員には、やりがいのある仕事を与える。そうしないと優秀な人材を引き留めておけない。
これから社会人になる人には自律したキャリア形成を考えてほしい。終身雇用や年功序列などの、日本特有の雇用慣行は確実に変化しつつある。テクノロジー革命により働き方も変化している。
すでに働いている人たちにも立ち止まって考えてほしい。
自分ならではの希少価値は何か。組織の中でも外でも通用するスキルをどう磨いていくか。これからのキャリアのロードマップを自分で描き、実現していく覚悟を持って桜の季節を迎えて欲しい。」
※村上由美子(むらかみ・ゆみこ)経済協力開発機構(OECD)東京センター所長。
上智大学外国語学部卒、米スタンフォード大学修士課程修了、米ハーバード大経営学修士課程修了。
国際連合、ゴールドマン・サックス証券などを経て2013年9月から現職。
米国人の夫と3人の子どもの5人家族。著書に『武器としての人口減社会』がある。
日本経済新聞朝刊 『WOMAN SMART キャリア』

仕事やビジネスにおいて、絶えず自分の付加価値を上げ続けていくことは重要です。

世の中に求められている付加価値とは


平成27年1月、内閣総理大臣を議長とする産業競争会議は「『変革の時代』に対応した高付加価値人材の育成と最大活用に向けて」という書面を公表しました。

今後、データ社会の発展やグローバル化、少子高齢化などを乗り越えるためには、「企業も個人もこうした変革の中で、生き抜いていく覚悟が必要」であるとしながら、
「一人一人が、能力や個性に真剣に向き合い、プロフェッショナリティを磨き、発揮していくこと(実力の伴った本当の意味での『就職』)をどう後押ししていくのかが重要である」と、”会社組織に頼らない働き方”をサポートする旨を発表しました。

高付加価値のポイントは”専門性”です。
これからの時代を生き抜く人材が「何かしらのプロ」になることがポイントになります。
また「『どの企業に入るか』より『自分が活躍するには何をするか』」を重視し、子どもの頃から自分のキャリアをどう築いていくかを意識する機会を増やすことが重要だとしています。

そして高付加価値な人材とは、どのようなチームに所属しても高いパフォーマンスを発揮する高いスキルを持つ個人のことです。

自分の付加価値を高めてチームの一員として全体に貢献することが重要

資格を必要とする仕事に就く場合、もしくは特定の仕事に就くために資格を取得する場合は、専門職として優位性の高い経験を積むことができます。
そのため、スペシャリストとして実力を伸ばすことが可能です。
しかし、専門職のため有効性が発揮できるのは需要がある状況に限定されやすくなります。
資格取得の道に進む方は、専門職で得た経験を他の仕事でも生かせる柔軟性を伸ばすことが大切です。

どんな職業でも、自分一人だけで完結する仕事はそれほど多くありません。
チームの一員としてどれだけ全体に貢献できるかが重要です。

自分自身がどれだけチームに貢献できるかを考えて仕事をすることで、周りからの信頼が厚くなります。
これからの世の中で活躍していくためにも、チームにどれだけ貢献できるかが重要です。
そのために、自分の目標設定やキャリアのロードマップを考え、自分の付加価値を高めていきましょう。