スタッフ 2017.04.1.

付加価値の向上

戦後、日本は高度経済成長期を迎え、会社が急激に成長するにつれ多くの企業は人手を求め、従業員の確保を最優先に掲げました。
その中で従業員の雇用の安定と賃金の上昇を保証した終身雇用制度・年功序列が日本的雇用慣行として定着しました。

終身雇用制度・年功序列は、若年人口が多く高齢者が少ない人口のピラミッド構造が成り立っている時は賃金を抑えたくさんの労働力を確保できます。
そのため、将来に渡り雇用を保証することで従業員の会社に対する高い忠誠心を確保できるとても合理的な制度として続いてきました。

このように日本経済の発展を支えた制度でしたが、21世紀に入り少子高齢化の進行やデフレによる低成長時代の常態化によりその制度の前提が崩れてきています。
そして、グローバル化の進展により国際競争力を上げる必要に迫られた企業は成果主義へと舵を切りだしています。

・ホンダ自動車が2002年から年功序列制度を廃止
・日立製作所が2014年から年功序列制度を廃止
・日産自動車は2004年から年功序列制度を廃止
・パナソニックが2015年から年功序列の給与体系を廃止
・ソニー、2015年から人事制度を変更(給与における年功序列要素を外すことを決定)

こうした日本を代表する企業でも年功序列を廃止しています。

また雇用の流動性の高まりにより必ずしも終身雇用が前提とされない雇用形態(有期契約・派遣契約)が2015年時点で全雇用の4割に達しています。

その中でどのような力が求められるでしょうか。
多様性、柔軟性、視野の広さ、謙虚に学ぶ力、コミュニケーション力、グローバル力など、個人の目標設定やキャリアのロードマップを自分自身で考えて自分の付加価値を上げていく必要があります。

経済協力開発機構(OECD)東京センター所長を務める村上由美子氏は、自身の体験から自分の希少価値を上げていくことを以下のように述べています。

以下は、2017年3月6日付 日本経済新聞朝刊記事の抜粋です。
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO13473130Y7A220C1TY5000/
「私自身絶えず、自分の市場価値を意識してきた。会社の看板でしか付加価値を創出できないなら、プロとしての実力は低いとみなされる。会社側も市場価値の高い社員には、やりがいのある仕事を与える。そうしないと優秀な人材を引き留めておけない。
これから社会人になる人には自律したキャリア形成を考えてほしい。終身雇用や年功序列などの、日本特有の雇用慣行は確実に変化しつつある。テクノロジー革命により働き方も変化している。
すでに働いている人たちにも立ち止まって考えてほしい。
自分ならではの希少価値は何か。組織の中でも外でも通用するスキルをどう磨いていくか。これからのキャリアのロードマップを自分で描き、実現していく覚悟を持って桜の季節を迎えて欲しい。」
※村上由美子(むらかみ・ゆみこ)経済協力開発機構(OECD)東京センター所長。
上智大学外国語学部卒、米スタンフォード大学修士課程修了、米ハーバード大経営学修士課程修了。
国際連合、ゴールドマン・サックス証券などを経て2013年9月から現職。
米国人の夫と3人の子どもの5人家族。著書に『武器としての人口減社会』がある。

仕事やビジネスにおいて絶えず自分の付加価値を上げていくことが大事です。

それでは世の中に求められている付加価値とは何でしょうか。

平成27年1月、内閣総理大臣を議長とする産業競争会議は「『変革の時代』に対応した高付加価値人材の育成と最大活用に向けて」という書面を発表しました。


今後、データ社会の発展やグローバル化、少子高齢化などを乗り越えるためには、「企業も個人もこうした変革の中で、生き抜いていく覚悟が必要」であるとしながら、
「一人一人が、能力や個性に真剣に向き合い、プロフェッショナリティを磨き、発揮していくこと(実力の伴った本当の意味での『就職』)をどう後押ししていくのかが重要である」と、
”会社組織に頼らない働き方”をサポートする旨を伝えました。高付加価値のポイントは”専門性”で、これからの時代を生き抜く人材が「何かしらのプロ」になることを後押ししています。
また「『どこに入るか』より『何をするか』」を重視し、子どもの頃から自分のキャリアをどう築いていくかを意識する機会を増やしていくことが重要と述べています。

そして高付加価値人材は、高いスキルを持つ個人を指しますが、彼らは組織内でもどこの組織でも高いパフォーマンスを発揮します。

資格が有効性を発揮するのは需要がある場合だけなので、専門職で得た経験を他の仕事でも生かせる柔軟性も必要です。

どんな職業でも、自分一人だけで完結する仕事はそれほど多くありません。
ですから、チームの一員としてどれだけ全体に貢献できるかは重要なポイントです。

自分自身がどれだけチームに良い影響を与えられるかを考えて仕事をすれば、周りからの信頼も厚くなります。
自分の目標やキャリアのロードマップを考え、そしてチームで成果を作っていく能力を磨き、自分の付加価値を高めていきましょう。

チーム株式会社
代表取締役 太田泰史